黒潮丸のガーデン読書録

 

書名:華日記−昭和生け花戦国史 著者:早坂暁 出版社:小学館
発行年月:1989 価格: 760
頁数:
読んだ理由:
 
読んだ日:2003/3  
内容:


「華日記昭和生け花戦国史」 早坂暁
素晴らしく面白い!
放送作家早坂暁が一時「生け花新聞」の編集長であり生け花評論を書いていたとはまったく知らなかった。しかし放送作家として売れっ子になったからこそ華道界についてここまで書けたのであろう。前述の海野氏、三頭谷(みずたに)氏では営業的にとても書けない世界だ。

本書は草月流、小原流、安達挿花、池坊について、終戦直後から跡継ぎ騒動までをきっちりと書く。草月流の脱税摘発から霞の出奔と妻子ある男性との結婚、池坊のお家騒動、安達瞳子の家出、実に面白い現代史だ。われらより5−10年上の世代の女性にとってこんなに面白い読み物はないのではないか。

小学館文庫(760円)でまだ入手可能である。ぜひご一読をお勧めする。
 



「巨億の構造」 渡辺一雄
池坊は室町時代に発し、華道諸流派すべての家元を自負する。
先代は早く亡くなり現家元専永は未だ幼く、長く家元不在の状態が続いた。この間池坊の組織を担ったのが専永の叔父山本忠男であった。彼は華道とは縁がなく、もっぱら事務屋として政治家として組織の維持・拡大に働く。しかし古く、巨大な金の流れる世界だけに陰謀が渦巻く。
そこに池坊保子が嫁いでくる。

この書は池坊のお家騒動、専永の浮気騒動を扱ったキワモノ小説である。
特筆すべきは池坊保子が「解説」を書いていることである。



 

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