黒潮丸のガーデン読書録

 

書名:日本庭園をつくる 著者:日本庭園研究会 出版社:グラフィック社
発行年月:1995/9 価格:3980円 頁数:140
読んだ理由:

日本庭園というと<歴史的建造物>ばかりで、現代の日本庭園の造園がどうなっているか知りたいと思っていた。この本は現代の日本庭園作例集である。

読んだ日:2002・3
内容:

日本庭園研究会に属する4人の作庭家の作品が紹介されている。

日本庭園研究会は会長吉河功氏が中心となって40年近くも活動を続けている団体で、会誌「庭研」を発行している。

作庭家4人とは、吉河功(1940生)、三橋一夫(1941生)、曽根三郎(1946生)、小菅新一(1952生)であるが予想外に若い。

40の庭が紹介されているが、施工主別に分類すると個人邸−21、社寺−14、旅館・料亭等−3、公園−2である。
作庭年代別には、この本の出版年を反映してほとんど1985〜1993年に集中している。バブル崩壊以後現在でもこのような本格的な日本庭園が造園されているのかどうか判らない。

あまり見慣れない現代の日本庭園の作例をまとめて見て、まずかんじるのは圧倒的な石の使用量である。室生犀星の随筆などからイメージしていた庭より遥かに石の比重が高い。また作庭後まがないので歴史的庭園より石が生々しい。
それと塀・垣根の多さである。これは普段見るのは社寺の庭園や大名庭園ばかりで、個人邸とは敷地の広さが違うのでそのように感じるのだろう。

日本庭園の作庭には植木職人より石工の果たす役割の方が大きそうだ。

レベルの高い写真をたくさん掲載してあり、それほど部数が出るとも思えないのに貴重な出版物だ。

 

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