国際栽培植物命名規約 |
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植物の命名ルール | 野生植物と栽培植物に関しては、その命名上のルールを定めた書物があ
ります。前者の場合は「国際植物命名規約」であり、後者は「国際栽培植物命名規約」です。
現在効力を有している「国際栽培植物命名規約」は1995年版であり、コンパクトな前版(1980)に比べると、新ルールの追加、前版の条項の見直し、新しい概念の導入など、少なくとも栽培植物を扱う者にとってわきまえておくべき事柄が格段に増えている
そうです。 |
園芸品種名とは | いわゆる園芸品種名(cultivar
name)を表記する場合、旧規約で許されていた表記法が新規約では許されなくなったことが最大の変更点です。 すなわち和名や英名などの普通名に続けて園芸品種小名(cultivar epithet)を記すことが出来なくなりました。「ウメ ’紅千鳥’」あるいは「Japanese apricot 'Beni-chidori'」といった表記のたぐいです。これは新規約にしたがって表記すれば「Prunus mume 'Beni-chidori'」が唯一国際的に認められた表記法となります。なぜなら規約の最大の主眼は、表記法から一切の「曖昧さ」を排除することにあるからで す。受け取り手によって複数の解釈が入りこむ表記法は実効性がないという考え方です。 |
cv 表記 | 旧規約ではその園芸品種小名の表記の仕方として、略号として「cv」を用いて園芸品種小名を表記してもよいとされていました。新規約ではこの表記法が認められなくな
りまた。 よって現規約における園芸品種小名の唯一の表記法は上記の例でいえば「'Beni-chidori'」しかないことになります。 |
園芸品種名の表記法は右のいずれかとする | 「種を表す学名+園芸品種小名」 例:Prumus mume 'Beni-chidori' 「交雑種を表す学名+園芸品種小名」 「属名+園芸品種小名} 「交雑属名+園芸品種小名} |
販売名、商品名 | 園芸的に改良された植物が流通する場合、園芸品種名がありながら販売上の都合で別の呼称を付与される場合があります。現規約ではそれらを販売名(trade
designations)と位置付けており、園芸品種小名であるかのように一重の引用符で括って表記してはならないと定めています。 |
園芸品種命名の禁止事項 | ・園芸品種小名にラテン語を用いてはならない ・一つの園芸品種小名は30文字(アルファベット)以内であること ・PinkとかYellowなどの形容詞1語のみを園芸品種小名として用いてはならない ・同じ属の中で、同じあるいはごく似た園芸品種小名を用いてはならない ・属名や種名の普通名を園芸品種小名に用いてはならない ・以下の語を園芸品種小名に用いてはならない−cross, hybrid, grex, group, maintenance, mutant, seedling, selection, sport, strain など ・園芸品種特性を誇大に表現したような語を園芸品種小名に用いてはならない |
<日本花名鑑@>解説記事より抜粋 |
「ノーメンクラツーラ」といえば旧ソ連の特権階級のことでしたが、命名法「nomenclature」とはどんな関係でしょうか。
By PCC