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「連作障害」に対するコメント
たまたまmixiの「ベランダ園芸部」でコメントを1つ書いたら、たちまちこんなコメントが付きました。
papaさんも Shinさんも、その世界では大変な権威者だそうです。
恐縮してしまいます。
papa | 連作障害の基本となる原因は、土壌成分のバランスのくずれに有ります。 有名なところでは、トマトなどのナス科植物があります。 ナス科植物は多量のカルシュウムを必要とするため、一年でそれらを消費してしまい、翌年はカルシュウム不足となって病気が出たり実成りが悪かったりの障害が出てしまいます。 その他、葉もの野菜なども土中のカルシュウムが多く必要な野菜です。従って酸性土壌を嫌います。酸性土壌はカルシュウムやミネラル分が少ないからです。それらの植物が連作を嫌う植物とされている理由です。 したがってプランターなどでは腐葉土や、有機石灰などを補充する事と、線虫などの有害動物や腐敗菌などの菌類を除去する必要があるわけです。方法は薬剤の使用や、加熱殺菌、日光消毒などの処置後に改良資材を追加して再生用土を作ることだと思います。 |
黒潮丸 | papa さま 土壌の洗浄についてはどうお考えですか? 私は連作障害対策は<殺菌殺虫><過剰分の洗い流し><不足分の付加>の3点セットではないかと思っているのですが。 それと輪作や接ぎ木苗など、苗側の対策です。 2010/2/26 |
りん | プランターくらいならそんなに量も多くないし私だったら… 黒いゴミ袋に水と一緒に土入れて、5月〜真夏あたりのいい天気の日に車のボンネットの上で灼熱地獄にして殺菌します で、使う時は腐葉土足して違う科の植物植えて使うかな〜。 2010・2・26 |
papa | 黒潮丸さま <過剰分の洗い流し> とは、前作の肥料分残留、塩類の蓄積が問題なのかと思います。 しかしながら、砂や軽石などの場合は洗い流しも有効でしょうが、黒土や腐葉土の混じった状態では 水での荒い流しはどうでしょうか。土の流失にも繋がりますし、その処置場所もマンションやベランダ園芸では難しいかと思います。 従って客土的な補充でその過剰濃度軽減が可能かと思います。 2010/2/27 |
Shin | Shin 土壌学の専門家はこれまで化学分野に偏っていたこともあり、要素欠乏説をとる人が多いように思います。 教科書にもそう書いてありますし。 しかし連作しても障害が発生しない土壌がたまにあることが知られており(福島県のある土地など)、微量要素を調べても原因が特定できないことから、微生物の偏りが連作障害の大きな原因の一つと考えられるようになっています。 微生物学では、専門用語で「集積培養(馴化培養)」という方法があります。 これは、特定のエサだけを与え続けると、そのエサの分解を得意とする微生物ばかりが増え、苦手とする微生物は次第に勢力を小さくしていくことを利用する培養法です。 この方法をとると、たとえばダイオキシンやPCBを分解する微生物も集積することができます。 日本の土壌は基本的に微生物が大変多様ですから、このような難分解物質を分解する微生物は、どこの土からも集積培養することができるほどです。 で、連作障害はこの集積培養の考え方から理解できます。 アブラナ科野菜ばかり連続して植えると、その野菜の根が大好きな微生物がだんだんと集積してきます。 最終的に、野菜自身が持つ防御機能を克服するほど集積してしまうと、根は微生物によって食べられる(腐る)ことになります。 つまり連作障害とは、その野菜を分解するのが得意な微生物を集積培養してしまうことで起きている現象というように理解できます。 #土壌学では微生物を専門にする人がようやく増えてきて、こうした考え方が広がってきています。といっても、土壌微生物学という分野の人であって、伝統的な土壌学はまだ化学的な考え方をして微生物を考えないことが多いので、別分野のようになってしまって、やや縦割りになってしまっているかも知れません。 輪作し、他の作物を植えてやることで、アブラナ科野菜の根が大好きな微生物の集積を抑えることができます。 別の野菜の根が好きな微生物が増えて、アブラナ科野菜の好きな微生物の勢力が小さくなるからです。 微生物というのは多くが偏食で、「私はこれしか食べません」というものが多いです。 アブラナ科野菜は好きだけれどナス科は嫌い、ナス科は好きだけれどウリ科は嫌い、などというように。 糖分でも、お砂糖(ショ糖)は好きだけれどグルコースは苦手、という、甘いものに関しても選り好みの激しいのもいます。 微生物の世界、特に土の中の微生物は、土に隠れているために見えないので、研究が遅れている分野です。 しかし、他の分野の微生物学の知識との交流もあって、だんだんと進み始めています。 最後になりましたが、連作障害が起きにくい土壌は、たとえばアブラナ科野菜の根が好きな微生物が、とても増殖しづらい土なのだろう、と仮説を立てられていて、現在調べられています。 というのも、この土を殺菌してしまうと、連作障害抑制効果が失われてしまうためです。 これは化学的な原因と言うより、微生物が原因であることを示しています。 2010/2/27 |
Shin | 連作障害がいったんでてしまった土の対策は、二通りあるように思います。 すでにご指摘がありましたが、2年くらいは別の作物を育てて、アブラナ科は育てないようにすること。 もう一つの方法は土壌殺菌&植菌です。 プランターサイズなら、熱湯で殺菌するとよいでしょう。 土の容積の倍くらいの量の熱湯を土に注ぎ、その後、サランラップで土の表面を覆います。 一晩おいておけば、連作障害の原因菌も死滅します。 ただしこの場合、有用な微生物も死んでしまうので、もし病原菌が忍び込んできたとき、かえって病原菌の巣窟になってしまう恐れがあります。 そこで、園芸店で売っている有機栽培用の培養土(微生物が豊富そうな黒土や山土)をバケツの水に加えてよく混ぜ、それを殺菌した土にかけてやります。 すると、培養土に済んでいた微生物が殺菌した土に定着し、生態系の多様性が確保され、病原菌が侵入しにくくなります。 しかし微生物も新しい環境(殺菌された土)に根付くのに時間がかかります。 2週間くらいはそっとしておいて、それから植えた方がよいでしょう。 書いていて思い出したのですが、熱水土壌消毒の成果が、連作障害の「微量要素欠乏説」に疑問が出てくる一つの要因になっています。 連作障害のでている土で熱水土壌消毒を行うと、連作障害がなくなります。 もし要素欠乏が連作障害の原因なら、熱湯で土を洗ってさらに養分を流してしまっているのですから、連作障害がひどくなって当然のはずですが、実際には土のリフレッシュ効果があります。 これは、微生物生態系がリセットされるからだと理解した方がわかりやすいようです。 2010/2/27 |
黒潮丸 | papaさま、Shinさま 素人の勝手解釈に、詳細な専門的なコメントをつけて下さり、まことに有難うございました。 感謝にたえません。 今後ともよろしくお願い致します。 (あまり高度なことを教えて頂くと、仲間うちで気楽な議論がし難くなるのが欠点ですね) 2010/2/27 |
黒潮丸 | 土壌の洗い流し 手前味噌ですが私が開発した防草シートによる<防根・透水ポット>は、熱水消毒をして抜けた水はそのまま排水口に流せるくらい泥分を含みません。 それだけいろんなものがポット内に残るわけで、それで殺菌・洗浄が充分かどうか不安でもあります。 商品とするためにはそのあとさきの土壌分析をするべきなのでしょうが、当方には現状ではその能力も資金力もありません。 何年かすれば実績でお答え出来るようになるでしょうが。 そして売れるようなら分析のデータもどこかに機関に依頼するつもりです。 http:// もしこのポットが有効なら、ベランダ園芸の廃土の処分が激減することになります。 2010/2/27 |
By PCC