畑地で同一作物またはナス科作物のように分類学上近縁な作物を連続して作付けすると、作物の生育が悪くなり、収量が減少することを連作障害という。古くは一般に忌地(いやち)といわれたが、最近ではもっぱら連作障害とよばれている。連作障害は野菜類で顕著で、生産の大きな隘路(あいろ)になっている。農林水産省野菜試験場の全国調査(1984)では、46種類の野菜について連作障害が認められ、その件数は880件に達し、その後も発生傾向に変化はみられない。その原因は病気によるものが多く、全体の72%を占めている。このほか土壌線虫その他害虫によるもの8%、カルシウム、ホウ素、マグネシウムなどの微量要素欠乏、塩類濃度障害、湿害、土壌物理性の悪化などによる生理障害が原因となっている場合が6%、原因不明なもの(病気らしいが確認できなかったものを含む)14%であった。病気は、フザリウム、リゾクトニア、バーティシリウムなど糸状菌の寄生によるほか、細菌、ウイルスの寄生が原因になっている場合もある。いずれも病原は土壌中に生存しており、一般に土壌病害とよばれている。連作障害の対策は、連作を避けることが基本となるが、原因が土壌病害の場合には土壌消毒を行うほか、生態的な防除法を組み合わせて被害を回避する。なお、水田につくる水稲は連作してもまったく連作障害はおこらない。
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執筆者:梶原敏宏 ]
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3.連作障害対策
「家庭菜園ブログ」(http://kateisaienn.blog95.fc2.com/blog-category-48.html
)の記事
家庭菜園での連作障害を考えると
エンドウ、スイカ、ナスのように
6〜7年も間隔をあけて栽培しなければならないものもあり、
小面積の家庭菜園ではたちまち野菜が作れなくなってしまいます。
家庭菜園のせまい畑ではとても無理!!
ひろい土地がなければ・・・とめげてしまいがちです。
しかし、せまい畑はせまい畑なりに工夫をすれば
連作障害を防ぎつつ、家庭菜園で野菜を作る楽しさを味わうこともできます。
ここでは家庭菜園での連作障害を防ぐのに
効果的な方法をご紹介します。
○接木苗(つぎきなえ)を使う
接木苗とは、病害に強い種類を台木として、
それに普通に栽培される苗を接いだものです。
少しでも連作障害が出ないようにするためには、
接ぎ木苗を使うのが一番です。
一度接木苗を試してみてはどうでしょうか?
○耐病性の品種を利用する
タキイ種苗やサカタのタネなど各種苗メーカーからは
どんどん新しい品種が発売されています。
○コンパニオンプランツを植える
コンパニオンプランツを一緒に植えることで
連作障害による被害が少なくなることが実証されてきています。
例えばナスとチャイブを一緒に植えると
青枯病を軽減したりすることができます。
○土壌消毒
連作障害の原因が土壌伝染する病気の場合、
土壌を消毒すれば障害を避けることができます。
農家の方は薬剤を使用して土壌消毒されるようですが、
せっかくの家庭菜園ですから、
転地返しをおこなうなど
太陽熱を利用した土壌消毒をおこないましょう。
○家庭菜園を4つの区画にわけ輪作をおこなう
区画わけできるほどの広さのある家庭菜園を
お持ちの方は畑を4分割して、
順番に作物を入れ替えていくように輪作をするといいでしょう。
○堆肥・腐葉土などの有機物を入れる
土が本来もつ分解能力を高め、
土に力をつけることは家庭菜園での野菜作りや
ガーデニングにおいての基本となりますが、
連作障害についても堆肥・腐葉土を入れることは
とても効果を発揮します。
土壌中に微生物のえさとして適度の有機物を入れ、
多様な生物が生育・生息しするような生態系を作り、
単一の病害虫が大発生する状態を防ぐといいでしょう。
牛糞などの動物性の堆肥よりも、
バーク堆肥などの植物性の堆肥を
入れることをおすすめします。
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4.連作障害対策としての熱水消毒
1)土壌熱水研 (http://www.geocities.jp/nessuiken/newpage2.htm )の記事
連作障害には熱水土壌消毒で
ハウス栽培に於いては、連作障害が栽培上の大きな問題となっており、安定した生産を行える圃場管理が要求されている。その連作障害は、病害虫と、土壌の科学・物理的変化が大きな要因として考えられている。
連作障害に対し、土壌消毒剤は病害虫の駆除のみを目的としており、病害虫が発生している土壌の質的改善には効果が期待できない。土壌の質的改善をしないことには一時的に病害虫を抑制できても再発の可能性は残したままになってしまう。特に施設栽培においては、閉鎖された環境での栽培となるため、土壌の還元にはより一層の注意が払わなければならない。
熱水消毒による土壌の改善
還元性の少ない施設園芸の土壌では残留肥料が多い傾向にあり、それがまた微生物の繁殖を妨げ、土壌の還元性をさらに低くしています。そのような土壌に熱水を注入すると土壌の質的改善が期待できます。
土壌の質的改善とは、熱水の持つ界面活性効果により、残留肥料等の結晶成分を剥離溶脱し土壌の汚れを洗い流すことにより行われる。それにより、結晶等による根焼けを防ぎ病害虫の根からの侵入を妨ぐ効果も期待できます。また土壌が浄化さると、微生物が活動しやすい環境がつくられ、微生物の活性は、土壌環境の改善を促進していきます。
熱水消毒は事前事後の処置が重要です。
しかし熱水消毒は、どの方法で行っても同じ結果が望めるものではありません。結果は、事前事後の処置でまったく変わったものになる場合もあるからです。
それは熱水消毒後の土壌はほとんど無菌状態になり、良くも悪くもなる可能性があるということです。
事前の処置としては、バチルス菌が潜在する有機資材を入れます。熱水によって加熱された有機資材は、消毒後に微生物の格好のえさになります。そして事後の処置としては消毒後に地温がある程度下がった時点で、速やかに有効菌を投入し、土壌の活性を計るようにします。
熱水消毒は土壌条件にあった方法で
これら熱水消毒の効果は、熱水を土壌中に浸透させた時に発揮します。逆を言えば、熱水が土壌中に浸透せず、表面を流れてしまうようではその効果は発揮されません。土質、土壌条件、圃場条件にあった方法の選択が大変重要です。
熱水の浸透性の良し悪しが大きく効果・効率を左右することから、消毒方法の選択には充分な考察が必要になってきます。
熱水消毒後の土壌は菌の繁殖適正土壌に
しっかり熱水消毒された土壌は、pH、ECの改善、団粒化、が進むと同時に、事前に投入されている粗大有機により有効菌の旺盛な繁殖を促進します。こうして熱水消毒により還元、蘇生された土壌は波動効果を持ち、栽培に適した土壌に変わっていきます。
(波動・・・物質「電子、陽子、中性子や細胞等」の潜在的に持つ力と言ってよいと思います。気功などもその力
ではないかとも言われています。)
有効菌の旺盛な活動は病害菌の抑制効果が?
どのような方法で消毒をしても、実際に圃場内すべての病害菌を殺菌することは無理に近いことと思われます。外部からの菌の侵入も考えられます。しかし、「セルロースを添加し土壌微生物が活性化した土壌においてはウイルスの働きは減退する。」ということが分かっています。この実験は、微生物の繁殖した土壌に、ウイルス感染した根を混ぜ8週間培養し、ウイルスの働きが10%〜20%に抑えられた、というものです。
(実験 農業生物研究機構・中央農業総合研究センター)
似た様な状況で、当社も以前、畝立てした後の圃場で畝のみの熱水消毒を試みたことがあります。畝はほぼ完全に消毒されたと思われますが、通路部分は表面5〜10p程度しか熱水の浸透がみられませんでした。もちろんこの時も事前事後の処置はしっかりしました。その結果は以下の通りです。
場所 高知県土佐市 病名 ピーマン青枯れ
圃場面積 1.8ha 2500本定植
2003年熱水消毒前 発病 800本 32%
2004年熱水消毒後 発病 20本 1%未満
この例の場合、圃場通路の部分の消毒は十分ではなかったにもかかわらず、以前と比べると明らかな違いが確認できました。畝部分の約65%以外の場所には病害菌は残っていたことは容易に想像がつきます。しかし熱水消毒で還元され、有機資材を充分に持ち微生物が旺盛に繁殖した畝により病害菌は抑えられたと考えることができます。
また、同圃場内ではバイラスによる被害もあったが、熱水消毒後の農業改良普及センターの調査では、その存在が確認されなかった。要因としては、一説によると還元された土壌により施設内環境は−イオン化が進み、−イオンが害虫の繁殖を抑えるようである。
(−イオンは害虫の方向感覚、雌雄の判別感覚を無くす効果があるようです。)
体感できる土壌の改善
当社の熱水消毒をした圃場の生産者は、一様にして土が変わったといっています。
JAおおいがわ、JAハイナン管内のトルコギキョウの栽培農家も、熱水消毒を始め3〜6年になり、土壌が改善されている様子が良くわかる、といっています。
・潅水しても透水性が非常に良く、以前のように通路まで流れることが無い。
・以前は潅水時に、しおれないように水のやりすぎにすごく注意を払ったが、今は土がそれをカバーしてくれているようで楽になった。
・支柱立ても楽に入っていく。
・栽培上、水を切っても40日程度はしおれない。
との声を良く耳にします。これらの現象は、団粒構造化した土壌により、保水性・排水性が向上したことが大きな理由として考えられます。また土壌の浄化・改善によって作物自体が本来持つ能力を発揮できるようになり、栽培上の水切りにも耐えられる強い根が張るようになったとも考えらます。
他にも「生育にムラが無く、栽培管理が楽になった。」との声が多くあります。しっかりムラなく熱水消毒さた土壌は、圃場全面が一様に浄化された状態になります。これに加え、前後の処置で、微生物の繁殖による土壌の活性を図っておけば、圃場一面が一様な栽培適正土壌になると期待されます。
以上のように熱水土壌消毒は、「消毒」という一場面でとらえるのではなく、その前後の処置を適切に行うことで、付加価値の高い効果を期待できます。
熱水土壌消毒は栽培の一場面であり、これに加え熱水消毒前後の処置、生産者の適切な栽培管理、がそろってその効果が発揮されると当社は考えています。
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2)熱水土壌消毒の原理と特徴 (野菜茶業研究所)
3)丸文製作所の熱水消毒
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5.<防草透水ポット>による
熱水消毒
咲き終わった該当ポットの植物を抜き、バケツの中でポットにヤカン一杯の熱湯を注ぎます。
または古い土をまとめて<防草透水ポット-サイズL>に入れ、同様に熱湯を注ぎます。
湯がよく浸透するように、固くなった土はほぐしてやって下さい。
湯温は80℃前後がいいそうです。そしてバケツの湯が平温に下がれば消毒は完了です。
水を捨てて下さい。
気温が低い時や土量が多い場合は2度繰り返して下さい。
細菌は65℃で数分で死滅するそうです。
再利用の前に、土壌活性剤、苦土石灰、緩効性肥料、有機肥料を付加して下さい。
連作障害に対する熱水消毒の効果についてPCCガーデンデザイン事務所は論ずる資格を持ちませんが、ネット上の連作障害に関する記事を読むと
非常に有効のようです。
実際に野菜を栽培する畑や温室内の土壌を熱水や蒸気消毒するには、専用の大型機器が必要です。
その点、<防草透水ポット>は少量の土の再生には最適です。
熱水消毒機器のメーカーに話したら、素晴らしいアイデアだと褒められました。
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